フェーズ1活動実績終了報告

各WPの研究概要

本研究の目的は、安全なIoT空間の実現に向けて、サイバーセキュリティに関する革新的な新しいツールを6つのグループ(WP1-6)において包括的に研究することである。
2019年度は、各WPでプロトタイプとして試作してきた「IoTを網羅的にセキュアにする基本的な技術」や、IoTに携わる人間のための教材」の評価を行い、その精度を上げることを目指す。特に、具体的な教育、日印社会や連携した企業による実用化を目指し、その研究成果を国際的に公開することを目標とする。安全なIoT空間を作り出すには、AI技術を用いて分析可能なビッグデータを記録することができる、一種のビッグクラウドサーバーシステムが必要となる。最終年度はそれぞれの研究を統合し、人間がこれらの情報を安全に処理できるようになる方法に焦点を当てる。

WP1| IoT用の安全な組み込みシステム

WP1では、IoTデバイスのため、組み込み開発技術に基づいて、設計レベルでセキュリティ対策処理の組み込まれたモジュールを開発可能とする仕組みの実現を目指す。この仕組みは、セキュアでかつ電力を考慮したアプリケーションの開発を支援するフレームワークと、そのフレームワークをより簡便に利用できるようにする言語から構成される。

2019年度は、

これまで開発を進めてきたドメイン特化モデリング言語、コード生成器、実行環境を拡充し、よりセキュアで省電力なソフトウェアシステムを構築することを目指す。また、IoT実行環境において攻撃を検知して対処するべく、攻撃検知手法と脅威トレースに関する研究を進める。

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WP2| セキュリティ指向低消費エネルギーIoTプロセッサシステム

WP2では、インテリジェントセンサーやエッジコンピューティングノードに搭載されることを前提としたセキュリティ指向の低消費エネルギー・プロセッサシステム・アーキテクチャを開発することを目指す。

2019年度は、

異常検知フレームワークをさらに改良・発展させることを目指す。IITDと共同で進めているセキュアプロセッサに関する研究も性能向上を目指すとともに、開発したプロセッサ・シミュレータを用いて評価を行う。そのプロセッサ・シミュレーション環境を、セキュリティを考慮したハードウェア設計の実現に向けて広く利用できるよう公開を検討する。また、ライセンスサーバを用いた認証回避攻撃に対する研究も行う。

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WP3| 安全なIoT空間クラウド

WP3では、IoTデバイスが使用するデータのセキュリティ確保のため、暗号、機械・深層学習などを利用してIoT空間のための安全なクラウドの実現を目指す。また、IoTに特化したマルウェアの脅威の解析と、クラウド環境でのセキュア化に深層学習の適用を試みる。特に未知の攻撃に対する対策はサイバーセキュリティの重要課題でもある。

2019年度は、

これまでの成果を基に、IoTシステム向けの軽量かつ有効な検知法、SDN環境での有効な攻撃検知法、日印連携のIoT環境での攻撃用マルウェアの分類・識別の研究をさらに改良、実装し、そしてパブリックなデータセットを利用しての性能実証を行う。成果を国内外の学会と論文誌に投稿する。

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WP4| 安全なIoT アプリケーション

WP4では、エンジニアがセキュリティを考慮した安心・安全な設計を可能とするIoTアプリケーション開発用フレームワークを研究開発する。特にデバイス間の接続やデータ共有について、利便性が高く且つセキュリティの高いフレームワークの開発を目指す。また、そのフレームワークを利用したアプリケーションの研究開発に取り組む。

2019年度は、

引き続きIoTセキュリティのフレームワーク及びアプリケーションの研究開発に取り組む。研究開発した成果を国際学会や論文誌に投稿する。また、各方面との連携についても模索していく。

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WP5| 脅威情報を利用したIoT専門教育

WP5では、IoTセキュリティ専門教育のための教材開発と教育の実践を目指す。IoT空間の様々なシステムに対する脅威情報を即応的に教材開発コンテンツに反映させる技術も含めて研究開発を行う。特にスマートビルディングを対象として他のWPの研究成果を逐次反映した内容の教材開発を進める。教育の実践においてはWP6と連携して演習を通した実践を進める。

2019年度は、

既に開発した日本語版SPOC(Small Private Online Course)教材を用いた教育実践を行う。ラーニングアナリティクス(LA: Learning Analytics)により教材コンテンツの問題点を洗い出し、解決・改善を図るとともに、閲覧システム自体の問題点を洗い出し、解決・改善を図る。また、英語版SPOC教材を基にMOOC(Massive Open Online Course)教材の開発を実施する。さらに、インド側を中心にセキュリティ教育のためのシリアスゲーム教材の設計・開発を行う。

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WP6| サイバー演習装置を用いた IoT スペシャリスト育成教育

サイバー演習装置やMoodle、MCQ(Multiple Choice Questions)などのeラーニングシステムとペネトレーションテストツールを用いたIoTスペシャリスト育成のための教材、国際教育コース・教材の開発を目指す。また新たに発見された脅威を即座に演習教材として取り入れる技術を研究開発する。

2019年度は、

サイバーセキュリティ教育のためのeラーニングコンテンツ(試験問題)の高度化を目指し、必要な問題のより適切な自動生成を目指す。また、インドとの共同研究であるペネトレーションテストツールを用いた教材の開発を行う。

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